私たち夫婦には子どもがいないため、 歳をとってからも一緒に楽しめる共通の趣味を持とうとはじめたものが2つある。 1つは言わずと知れた「カジノ」である。 そして、もう1つは「ゴルフ」だ。
2年ほど前まで、私たちは仕事に追いまくられる毎日を送っていた。 徹夜なんて日常茶飯事。 よく体が持つものだと自分ながらに感心するほど、よく働いた。 が、不規則な生活が続いたため、その代償として、 tagamanも私も出会った当初の体重から約20キロほど太ってしまった。 もはや別人だ。当時の面影など、みじんもない。
で、日頃の運動不足解消もかねて、はじめたのが「ゴルフ」だった。 よって、ゴルフ歴は2年と、まだまだ浅い。
が、ゴルフほど、人間性の出るスポーツはないと思っている。 仕事で偉そうなことを言っている人でも ゴルフを一緒にまわると、意外とセコかったりして がっかりすることが度々ある。 なので、もし今、私が独身で結婚を意識している彼がいたとしたら、 絶対にゴルフを一緒にラウンドして 彼のセコさ加減を判定してから、結婚するかどうかを決めたいと思う。
また、ゴルフをはじめてわかったことがひとつある。 それは人間とは、なんと教えることが好きな動物なのかということだ。 ゴルフをはじめたことを仕事関係の人に言うと、 必ず、どれどれと私のフォームを見たがる。 そして、決まって、ここがどうの、あそこがどうのと、指導してくれる。 根が真面目な私は、最初、それらのアドバイスをすべて真に受け、 彼らの言う通りのフォームを目指した。 が、彼らは所詮、アマチュアだ。 本で見たり、聞きかじったことをマニュアル通りに伝えるだけで、 私の身体能力に応じたアドバイスをしてくれているわけではない。 結果、どうなったかというと、はじめてクラブを持って振ったときよりも 格段に不自然でぎこちないフォームができあがってしまった。
一方のtagamanはそういったアドバイスにはまったく耳を貸さない。 習うより慣れろをただひたすら実践する。 もともとtagamanは肩を壊すまでは、将来は絶対にプロになれると言われていた 地元ではちょっと名の通った野球少年だった。 なので、体の回転がスムーズで遠くに飛ばすのは天才的に上手い。 伸び伸び打つtagamanと窮屈そうに打つ私。 だんだん、体だけでなく、心まで窮屈になってきた私は ゴルフがつまらないスポーツに思えてきた。
とどめは、はじめてコースに出たときだ。 少しアゴのきついバンカーに入れてしまった私に 一緒にまわっていた人が「前は無理だから、後ろへ出して」と言った。 スコアメイクを考えるなら、それが正解なのかも知れない。 もしくは、何度かトライして、それでもバンカーから出なかった場合には そんなアドバスも仕方がないだろう。 が、コンペでもないのに、いきなりそんなアドバイスってありだろうか。 ましてや、人の100倍、負けず嫌いの私に向かって、後退しろだと? そのとき、私の中でプツンと何かが切れる音がした。
私には私のゴルフの愉しみ方がある。 高いお金を払ってコースに出てきているのだ。 バンカーだって楽しみたいに決まっている。 後ろに出すのは、戦わずして、白旗をあげるようなものだ。 「何を抜かすか、このアホおやじ」と心の中で悪態をつきながら、 聞こえないフリをして、ガツンと前に思いっきり振り抜いた。 結果は見事、バンカーを飛び出し、グリーンのちょうどいい場所に落ちた。
このときを境に、私は他人のアドバイスを鵜呑みすることがなくなった。 人それぞれ、顔が違うように、体だって十人十色だ。 パワーも違えば、柔軟性だって違う。 また、アグレッシブに攻めたい人もいれば、 コツコツと堅実にスコアメイクを狙う人もいる。 それをすべて同じ型にはめようとしても、所詮無理な話なのだ。
で、今の私は何より、ゴルフを楽しむことを優先している。 あいかわらず、周囲の雑音はうるさいが、 アドバスを取捨選択できるゆとりも出てきた。 そのおかげで、見る見る腕前も上達した。 何よりフォームが美しい。(←軽い自慢) 自分の身体バランスに合った無理のないスイングは、 フォームだけ見たらシングルプレイヤーにしか見えないと、よく言われる。 できれば、フォームだけでなく、 スコアの方もシングルプレイヤーになれればいいのだが、 世の中、そんなに甘くない。 やっぱり、練習あるのみ。 これだけは異口同音。みんな同じことを言う。 この点だけは、素直に諸先輩たちの教えに従った方が良さそうだ。
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